タイ現地採用、月給10万バーツあればタイに永住できるのか?

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eijyu

前回のエントリーでは「月給10万バーツの壁」について書いてみた。もちろん人それぞれだろうけど、個人的には敢えて「壁」という表現をするほどの高いハードルではないと結論付けた。もちろんタイで現地採用を始めたばかりの人が、短期目標の1つとするのには妥当な水準の待遇であるとは思う。

では、「月給10万バーツ」あればタイで現地採用として、日本に帰国することなくずっとやっていけるのか?

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答えは「Yes」でもあり、そして「No」でもある

私自身、タイで現地採用として生計を立て始めてまだ7年目。最近ではようやくタイのことが少し分かり始めてきたのかなとは感じてはいるが、まだまだ知らないことのほうが圧倒的に多い。そんなタイ生活歴の決して長いとは言えない若輩者が考える「月給10万バーツ」での生活、ならびに将来設計について、今日は少し書いてみたいと思う。

そもそも月給10万バーツの手取り額っていくら?

タイで給与を得ている人間(タイ人、外国人問わず)は、毎月の給与から以下を必ず源泉される。

(1) 所得税

(2) 社会保険費

見て分かるように、日本と違ってあれこれ源泉されるものが少なく非常にシンプル。加えて、勤務先の会社が「(3) プロビデントファンド(退職金積立制度)」に加入している場合には、その自己積立分が自動的にファンドに積み立てられる。

(1)の所得税は日本と同じく累進課税制となっている。2013年から始まった時限的な所得税減税措置は、当初の2年から延長されて2015年現在も税率は低いままとなっている。

所得税の累進課税テーブル
(2013年~2015年現在。[ ] 内は2012年迄の税率)

課税対象
0~15万バーツ   (税率0% [0%])
15~30万バーツ   (税率5% [10%])
30~50万バーツ   (税率10% [10%])
50~75万バーツ   (税率15% [20%])
75~100万バーツ   (税率20% [20%])
100~200万バーツ (税率25% [30%])
200~400万バーツ (税率30% [30%])
400万バーツ~    (税率35% [37%])

(2) 社会保険費は給与の5%、もしくは750バーツを上限としているので、月給15,000バーツ以上の人、つまり普通は我々日本人は全員750バーツとなる。ちなみに社会保険費支払い分はすべて所得税控除の対象。

(3) プロビデントファンド(退職金積立制度)、これは積立ということになるので、税金とはまったく異なる性質の源泉に当たるのだが、毎月の手取りという意味ではもちろん給料から源泉される。こちらも社会保険費と同じように、源泉された分は所得税控除の対象。

結局、月給10万バーツ、独身・扶養家族無し、 プロビデントファンド加入(5%)の条件だと、手取りはおよそ84,000バーツとなる。(※タイで働いた場合の給与手取り額の計算詳細は以下のエントリーを参照)

タイ現地採用の手取り給与と税金
前回はタイ現地採用のだいたいの給与の相場を紹介した。それでは実際に手取りはいくらぐらいになるのだろうか? ...

タイでの毎月の生活費ってどれぐらいかかるの?

はっきり言ってこれには本当に答えがないと思う。家族構成、趣味、飲酒・喫煙の有無、もちろん生活の満足度も含めれば答えは無数にある。平均というものが出せないので1つだけ例を挙げることにする。

(例)
30代独身、 趣味は一人での貧乏旅行(海外、国内)、お酒も飲むしタバコも吸います。ゴルフはやりません。日本へは年1回帰国。家はスクンビット地区、BTSから徒歩圏内で1BR 50平米くらい。職場まではBTS通勤。食事は外食中心、日本料理とタイ料理は半々くらいで、週2回ほど同僚や友人と居酒屋で飲み食いします。カラオケ等の夜遊びはほとんどせず日本からの出張者のアテンドで年数回ほど。節税のためにLTFは年20~25万バーツ程度は購入します。

(※タイに住んでいない方にもイメージし易いように、( ) 内は日本円換算した場合の金額。レートは2015年6月現在、1バーツ=3.6 円で計算しています。)

(1) 住居費 : 25,000バーツ(90,000円)
(2) 光熱費 : 2,000バーツ(7,200円)
(3) 通信費 : 1,000バーツ(3,600円)
(4) 食費 : 12,000バーツ(43,200円)
(5) 交際費 : 10,000バーツ(36,000円)
(6) 日用品費 : 2,000バーツ(7,200円)
(7) 交通費 : 2,000バーツ(7,200円)
(8) その他雑費 : 3,000バーツ(10,800円)
(9) 日本帰国航空券 : 2,000バーツ(7,200円)
(10) 旅行費用 : 5,000バーツ(18,000円)
(11) LTF購入費用 : 20,000バーツ(72,000円)

合計 : 84,000バーツ(302,400円)
(※ (9), (10), (11)は単純に12で割りました)

まさに偶然ではあるが月給10万バーツ貰った場合の手取りと同じとなった。

正確に言うと、月給以外にもボーナス(業界によりけりだが1~5ヶ月分、多い業界では8ヶ月なんてところもある。平均すると3~4ヶ月分くらいだろうか)、それにLTF購入による所得税還付金もある。また実際には (9), (10), (11) 等の大きな出費に関しては貯金やボーナスから補填するので毎月の生活費に計上するのは不自然かもしれない。

したがってそれらを除くと、

生活費としての支出は57,000バーツ/月(205,200円)

つまり月給10万バーツの場合、手取りが84,000バーツ(302,400円)なので、単純に残りの27,000バーツ(97,200円)が月々の貯金となる。

ボーナスが年3ヶ月分として、10万×3で30万バーツ(108万円)。実際にはここから所得税が25%分引かれるのでボーナスの手取りは22.5万バーツ(81万円)となる。

最後にLTFを購入していた場合の還付金も。24万バーツ分のLTFを購入したとすると、その25%に当たる6万バーツ(21.6万円)が、すでに納付済みの所得税の還付金として戻ってくる。

よって年間で貯蓄として手元に残るのは、

(a) 毎月の貯金 : 2.7万 × 12ヶ月 = 32.4万バーツ(116.6万円)
(b) ボーナス : 22.5万バーツ(81.0万円)
(c) 所得税還付金 : 6.0万バーツ(21.6万円)

合計 : 60.9万バーツ(219.2万円)

で、最後にここから支出 (9), (10) の計8.4万バーツ(30.2万円)を引くと、
(※LTF購入分は資産となるので、年間貯蓄額からはマイナスしない)


年間貯蓄額は、52.5万バーツ(189.0万円)

こうして見ると毎年結構な額を貯蓄できますね。日本でサラリーマンやるのと同じくらい。もちろん最初の条件に書いたように上記はとある独身者のケースです。家族構成(子供の数)によっても変わってきます。あくまでも一例に過ぎませんのであしからず。

結局は月給10万バーツあればタイで現地採用でもずっとやっていけるの?

試しにさきほどの例で定年(55歳とする)まで20年間働いたとする。なお、計算を単純化するために定年まで独身、所得税率やLTFの税控除等の制度は現行のまま、また年間昇給分と物価インフレ分は完全に相殺されるものとして考える(バーツ・円レートも1バーツ=3.6円で計算)と、

(α) 貯蓄20年分(2%/年で運用): 1,288万バーツ(3,780万円)
(β) プロビデントファンド解約分 : 425万バーツ(1,530万円)
(γ) 定年退職金 : 15万 × 10 ヶ月=150万バーツ(540万円)

退職時の総貯蓄額は、1,863万バーツ(6,707万円)

(※今回は日本での貯蓄額は一切考慮していません)

そして退職後の55歳から、この貯金を取り崩しながら残りを定期預金等の安全資産で年間2%で運用したとする。生活費を多めに見積もって年間で100万バーツ(退職後のインフレ率は考慮しない)とすると、

(1年目、56歳)
資産1,763万バーツ、運用益36.3万バーツで残り1,799.3万バーツ

(2年目、57歳)
資産1,699.3万バーツ、運用益35.0万バーツで残り1,734.3万バーツ

(3年目、58歳)
資産1,634.3万バーツ、運用益33.7万バーツで残り1,668.0万バーツ

・・・

(21年目、76歳)
資産214.3万バーツ、運用益5.3万バーツで残り219.6万バーツ

(22年目、77歳)
資産119.6万バーツ、運用益3.4万バーツで残り123.0万バーツ

(23年目、78歳)
資産23.0万バーツ、運用益1.4万バーツで残り24.4万バーツ

(24年目、79歳)
資産 -75.6万バーツ

計算してみると、退職から24年目。年齢にして79歳のとき、ついに資産がマイナスとなり生活が破綻ww (※今回は日本での貯蓄額や年金についてはまったく計算に入れていません)

厚生労働省が2014年に発表した、2013年時点での日本人男性の平均寿命は 80.2 歳なので、だいたい平均寿命くらいまでは大丈夫そうだ。なおタイもこれから高齢化社会に絶賛突入中なので、あと20年の間には現行の定年55歳(企業によってはすでに60歳のところもある)が最低でも60歳には引き上げられることでしょう。そうすれば計算上、日本人男性の平均寿命より長く生きたとしてもタイでの生活が破綻することはなさそうだ。(※今回は誰もが老後に直面するであろう、健康面の問題については一切考慮しておりません)

タイで月給10万バーツ貰っていれば死ぬまで大丈夫っぽい

仮に上述のシミュレーションどおりとして、独身で30代前半~半ばくらい迄に月給10万バーツに到達すれば、少なくとも日本人男性の平均寿命くらいまでは生活が破綻することなくタイでずっとやっていけるっぽいことが分かった。

と同時に、”もしも結婚していたとしたら”、”もしも子供がいたとしたら”、到底10万バーツ程度での月給では、将来を見据えてタイで生活するのは間違いなく非常に厳しいだろうということも、今回のシミュレーション結果から見えてくると思う。

最後に。

あくまでも単純計算の上でのシミュレーション結果なので、「へぇ、そうなんだ」くらいの軽い感覚で受け止めていただければ幸いです。

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コメント

  1. REAL MADRID より:

    初めまして。こんにちは。

    元タイ現地採用(17年)の者です。(現在は日本在住です)
    個人的経験ですが、給料10万バーツ(手取りで9万バーツ)+ボーナス年間3か月分もらっていた時期もありましたが、子供2人の教育費や家内(タイ人)の実家が貧しかったこともあり、当時でも家計は非常に苦しかった記憶があります。
    日本への一時帰国費用、飲み代、ゴルフ代、旅行などの費用捻出する余裕はとても無かったです。

    一般論ではありますが、独身か、結婚していても子供がいなければ、10万バーツで、まあまあの生活が営めるのではないかと思います。
    実際、給料同レベルの現地採用の友人は結構生活に余裕がある様に見えました。

    タイ現地採用として月何万バーツあれば生活できるか?という話題に言及されているブログも少なくないですが、その殆どが独身を前提として書かれている感があります。

    • Natsu より:

      REAL MADRIDさん

      はじめまして、コメントいただきましてありがとうございます。

      おっしゃられるように独身であるか、結婚されてるか、さらにお子さんがいらっしゃるかで必要なお金は全然変わってきますよね。

      記事の中でも言及しておりますように「独身」であれば比較的余裕のある生活ができるラインの1つが10万バーツではないかと思いますが、将来を考えると最低12万バーツくらい(手取りで10万超えるくらい)は欲しいところです。

  2. REAL MADRID より:

    NATSUさん。こんばんは。ご返信いただきましてありがとうございます。
    ごめんなさい。前回、NATSUさんの記事をちゃんと全部読んでいなくて。。。。

    正にその通りなのです。
    結婚していて子供がいた場合、、、、10万バーツでも非常に生活は厳しいのです。

    実際、当時私一人だけタイの地方都市の工場に単身赴任勤務という生活だったので、私一人分の生活費は独身の方と同じ生活条件となるのですが、その時のアパートの家賃は1,800バーツ。食費(私一人分)多くて月5,000 バーツ(ほぼ全てタイ料理屋台)、交際費は一か月当たり約1,000バーツで。日本帰国費用やLTF購入は論外でした。
    多分給料2万バーツくらいの独身の人と同等の生活レベルではなかったかと思います。

    インターネット上にタイ現地採用に関する記事も少なくないですが、「タイは物価が安いというので給料が安くても大丈夫」という趣旨の記述も少なく無く、タイ生活費のシュミレーションが為されていますが、タイの物価の安さの話だけが先行し、その殆どが比較的若い独身の人を前提とした様な内容となっており、必ずしも実態を反映できていない内容と感じております。

    以上の経験から、私は一般論としては「タイ現地採用」とう働き方には否定的です。
    ある一定の条件が満たされればタイ現地採用で成功の道も十分ありますが、全員には当てはまらないと思います。
    もし今後タイで現地採用で働きたいと考えている人に遭遇すれば、まずは辞める様説得したいです。

    • Natsu より:

      REAL MADRIDさん

      こんにちは。

      私もタイは物価が安い、大卒初任給は1.5万バーツ、だからその3倍以上の5万バーツは高給取りだしリッチな生活が送れる!といった謳い文句ははっきり言って詐欺だと思います。もちろんよく調べもせずにその言葉を鵜呑みにして現実を知る人もどうかと思いますが。完全にタイ人として生活するのであればもちろん高級取りにあたりますがタイ語がネイティブでもない、タイ人の家族がいるわけでもない我々外国人が100%タイ人と同じ生活ができるはずもありません。しかも日系企業で働く新卒のタイ人、給料こそ安いですが親御さんから給与の何倍ものお小遣いをもらっている子もたくさんいますしね。。。

      ただ、タイで現地採用をする人にはいろいろな人がいるのもまた事実かと。日本に資産があったりしてタイに住むために安定したビザが欲しくコールセンター等で働く人、海外でキャリアを積みたくてタイに出てきた人、タイで起業するもしくは自分で商売を始める迄の準備期間として現地採用として働く人等々です。ですので私はこれからタイで現地採用として働きたいという人がいても否定もしませんし肯定もしません。その人の人生なので他人がとやかく言うのは何か違うのかな、と。現実と理想が著しく乖離していればアドバイスくらいはするかもしれませんが基本的に中立ですね。

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